残業代の具体的計算方法

Aさんの残業代を計算してみましょう。

1 Aさんの労働条件は,以下のとおりです。

所定賃金 月額30万円

所定労働時間 9時00分から5時30分まで(うち1時間休憩)1日7時間30分

所定休日 土曜日,日曜日,国民の祝日

法定休日 日曜日

2 Aさんの平成27年4月6日から同月12日までの労働状況は,以下の表の記載のとおりです。

3 まず,割増賃金の額を計算するためには,平均時給を算出します。

平均時給は,所定賃金÷月間所定労働時間(その月の所定労働日数×1日の所定労働時間)で算出します。

Aさんの平成27年4月の所定労働日数(平成27年4月の30日のうち,上記所定休日を差し引いた残日数)は21日です。

そして,Aさんの平成27年4月の所定労働時間は,157時間30分です(所定労働日数21日×1日の所定労働時間7時間30分)

よって,Aさんの平成27年4月の平均時給は,1904円76銭ということになります(所定賃金30万円÷月間所定労働時間)

4 次に,Aさんの時間外労働時間,休日労働時間,及び深夜労働時間を計算し,それに平均時給及び割増賃金率を乗じ割増賃金を算出します。

⑴ 法内残業代 

Aさんが勤める会社の1日の所定労働時間は7時間30分です。

よって,所定労働時間と法定労働時間(8時間)との間には30分の差があります。

法定労働時間を超えて労働しなければ割増賃金は発生しませんので,この30分間の残業代は,平均時給で計算します。

Aさんの平成27年4月の法内残業時間は3時間ですので,法内残業代は,5712円となります。

⑵ 時間外労働の割増賃金

Aさんの法定休日を除く一日8時間を超える労働時間は,合計8時間35分ですが,週の労働時間は64時間45分と40時間を24時間45分超過していますので,割増賃金を算出するうえでの時間外労働時間は24時間45分となります。

これに,平均時給と割増率25%を乗じた5万7738円が,Aさんの4月の時間外労働の割増賃金となります。

⑶ 休日労働時間の割増賃金

Aさんの休日労働時間は,8時間00分です。

これに,平均時給と割増率35%を乗じた2万0571円が,Aさんの4月の休日労働の割増賃金となります。

⑷ 深夜労働時間の割増賃金

Aさんの深夜労働時間は,1時間00分です。

これに,平均時給と割増率25%を乗じた2381円が,Aさんの4月の深夜労働の割増賃金となります。

なお,深夜労働時間の1時間は,時間外労働時間にも参入されていますが,時間外労働時間が深夜に及んだ場合には,時間外労働の割増率と深夜労働の割増率の両方が適用されます。

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