遺言の方式
遺言の効力発生時においては,被相続人はすでに死亡していることから,その時点において遺言書の内容や遺言書が本当に遺言者の意思の基づくかどうかを相続人に確認することはできません。
そこで,民法は,遺言に厳格な方式を定め,方式に従った遺言だけに法的効力を認めています。
民法が定めている遺言の方式には,自筆証書遺言,公正証書遺言,秘密証書遺言,危急時遺言,船舶遭難者遺言隔絶地遺言があります。
これらのうち,通常利用される方式は,自筆証書遺言と公正証書遺言です。
⑴ 自筆証書遺言とは,遺言者が,全文,日付及び氏名を自書し,押印する方式の遺言です。
⑵ 公正証書遺言
公正証書遺言とは,次の方式に従い,公正証書によってなされる方式の遺言です。
① 証人2人以上の立会い
② 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授
③ 公証人が遺言者の口述を筆記し,これを遺言者及び証人に読み聞かせ,又は閲覧させる
④ 遺言者及び証人が,筆記の正確なことを承認した後,各自これに署名し押印
⑤ 公証人が,その証書は以上の方式に従って作ったものであることを付記して,これに署名,押印
⑵ 自筆証書遺言,公正証書遺言のメリット,デメリット
自筆証書遺言は,最も簡単に作成できるというメリットがありますが,紛失,変造等の危険があります。
反面,公正証書遺言は,紛失,変造等の危険はありませんが,自筆証書遺言と比べると手続きが煩雑であり,また費用も多くかかるというデメリットがあります。