みなし労働制
事業所外労働のみなし労働制
労働基準法32条の2第1項は,労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において,労働時間を算定し難いときは,所定労働時間労働したものとみなすと定めています。これを,事業外労働についてのみなし労働制といいます。
労働時間のうち殆どの時間外出している営業職など労働者が,会社に対し,残業代の請求をした場合,会社側からみなし労働制を理由に残業代の支払いを拒まれることがよくあります。
しかし,事業場外で業務であっても,労働時間を算定することができる場合にはこの制度を採用することはできません。最高裁は,募集型の企画旅行における添乗員の業務が労働基準法38条の2第1項にいう「労働時間を算定し難いとき」にあたるか否かが問題となった事件で,業務の性質やその遂行の態様,状況等,本件会社と添乗員との間の業務に関する指示及び報告の方法,内容やその実施の態様,状況等を考慮し,労働基準法38条の2第1項にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たるとはいえないと判断しています(平成26年1月24日第2小法廷判決)。