民事控訴審の特色
民事控訴とは
民事控訴とは,第一審の地方裁判所(又は家庭裁判所,簡易裁判所)の民事判決(原判決)について,不服のある当事者が,第二審(民事控訴審)の高等裁判所(なお,特許権等の知的財産関係訴訟の控訴は東京高裁支部の「知的財産高等裁判所」,また,簡易裁判所の判決の控訴は地方裁判所)に対し,原判決の取消し又は変更を求める不服申立てを言います。
続審制
ところで,我が国の民事控訴審の構造(審理方式)は,「続審制」が特色であると言われています。ちなみに,刑事控訴審は「事後審(覆審)制」が特色であると言われています。
いきなり難しい専門用語が出て参りましたので,「続審制」について,ミニ解説をいたします。
民事控訴審の審理の仕組みは,第一審の審理の結果を土台にして,いわば第一審の継続として更に審理が重ねられます。
つまり,民事控訴審においては,当事者は,第一審の弁論の続行として,新たな主張(法律用語では「攻撃防御方法」と言います。)を適時に提出する権能(これを専門用語で「更新権」と言います。)が認められています。そして,控訴裁判所は,控訴人の不服申立ての範囲内で,控訴理由の有無を審査した上,第一審の判決(原判決)の当否について,改めて判断(控訴棄却又は原判決の取消し,変更等の判決)をすることになります。
このような民事控訴審の構造(審理方式)の特色を簡潔に表現し,「続審制」と呼ばれています。